プロローグ

 しんしんと 雪が降り積もる森の中。
銀世界の中に、一点、赤い炎が燃えています。
パチパチという炎の音だけが、静寂の森の中で
響きます。


 倒れた大木に、一人と2匹。
青いコートを着た女の子と、白とグレーの
ふくろうが肩を寄せ合うようにして並んでいます。

 女の子は、一冊の本を手にしています。
グリーンの表紙のその本には、どんな物語が
刻まれているのでしょうか。
女の子は夢中になって読んでいます。


 辺りはとても静まり返っています。
森の木々たちも、気配を消しています。
女の子を囲んで、森と星々と動物たちは、まるで
物語が先へ先へと進んでいくように見守っている
かのようです。

 

 


 深い夜が忍び寄ってきました。
遠くに見える家の灯りと、炎と星々が踊りはじめ
ました。

チラチラ・・パチパチ・・キラキラ・・・

これから 物語の長い夜が更けていきます。