トゥィットゥリー小人族

 オモリー父さんをはじめ、家族4人はそれぞれ芸術的なものを得意としています。
もともと、「トゥィットゥリー小人族」は器用なことで知られています。
オモリー父さんは、木材を使っていろいろこしらえるのが得意ですし、モモニー母さ
んは、洋裁や編み物など。チョリーノは、父さんの血を受け継いだのかいろいろな物
を使って楽器にしたてるのが得意です。チョリーナは、アクセサリー作りなど細かい
ものを扱うのが天性のようです。チョチョリは、面白い物を見つけることに関しては
天才といえるかもしれません。フッと嗅覚がはたらくのか、朝目を覚ましてフラ~っ
と出て行ったかと思ったら、お昼頃にはどこへ行けばそんなものがあるのかというよ
うな、珍しいものを見つけて来るのです。チョチョリが見つけてきた珍しく面白いも
のたちは家族の創造性を刺激するので、家族はチョチョリの持ち帰る珍しく面白い物
をいつも楽しみにしています。それらで、工夫してそれぞれがいろいろな物を作り上
げるので、オモリー一家はトゥィットゥリー小人族の中でもとびきりのものつくりの
名人揃いなのです。

 七色スワンのいる湖も、チョチョリがある日たくさんの七色の鳥の羽を持ち帰った
ことから、知ることとなりました。スワンの羽は、今では家族にとってなくてはなら
ないものつくりの素材の一つになっています。
 そして、名人揃いの中でも特にモモニー母さんの作るものは、家族にとても愛されて
います。母さんの作るものはすべて愛情一杯の手作り品なのです。


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 トゥィットゥリー小人族は、日々の暮らしを工夫して送っているので自然といろい
ろな物を手作りするようになったのが器用と言われる所以ですが、それ以外では日記
を書くというのがトゥィットゥリー小人族の特徴と言えるかもしれません。日記を書
くといっても毎日の出来事を事細かに記すというのではなくて(中にはそういうのを
好む小人もおりますが)、その時々で心に留まったことを書き記したり、新しく覚え
たことをメモしておいたり、気に入ったものを張り付けたりとスクラップブックのよ
うなものを一小人ずつ持っているのです。
(小人の中には、葉っぱだけ集めた葉っぱ帳を作る者や、生地の端切れを貼り付けた
端切れ帳などがあります。そして、空気を貼り付けた見た者には何も見えない!?
というなんとも変った日記帳を出す小人もいます。)

 時に、それらの日記帳は、オーロラ草原で「アサモヤ市場市」が開催された時に市
場の一角で品評会が行われ、それぞれの小人が作った工夫を凝らしたものを見ること
ができます。小人によって装飾や、中身のテーマなどが違っているので、それは見て
いて飽きない催しです。腕をふるいデザインした新しい日記帳を売って
いる店や、日記帳作りに必要な材料を売っている小店などもあります。その品評会で
は、モモニーが作った日記帳にいつも人気が集まります。中には譲ってほしいという
小人までいます。モモニーの日記帳は主に日々の出来事や毎日の料理、手作りのこと
など書き記してる、中身としてはごくありふれた題材のものなのですが、その日記帳
のカバーの装飾のすばらしいことといったら!
モモニーの日記帳はいろいろな材料を用いてコラージュしたものなのです。七色スワ
ンの湖は知る人ぞ知る湖なので、そのスワンの羽を織り交ぜた日記帳に、珍しいもの
を見たと小人たちは目を奪われるのです。そうして幾度か市場が開かれるうちに、い
つしかモモニーの日記帳は小人たちの間でとっても評判になり、日記帳を作って売っ
て欲しいという小人たちで増えていきました。
 こうして、モモニーにとって日記帳作りはなくてはならない毎日の楽しい仕事のひ
とつとなったのでした。そして、そんなモモニーの手作りを家族は心温かく見守り、
支えてくれているのです。