毛糸のブランケット

 

 

         

 

寒い寒い冬が過ぎ去りつつあります。
オーロラ草原にもふんわりとやわらかな風がそよぎ
あたりにちらほらと若葉が顔を出すようになりました。

お部屋を片付けている時に寒い冬の間にこしらえた、
毛糸で作ったセーターののこり糸がたくさん出てきました。


「寒いときには、早く春がこないかしらと思ったものだけれど
こうして、いざ春が近づいてくるとなんだかまた冬が恋しくな
ってしまうなんて。不思議ね。」

のこり毛糸をながめひとつひとつ確認するように手にしながら、
モモニーは独りごちました。

色とりどりの小さな丸い毛糸玉を、テーブルに並べてながめながら
モモニーは、冬の最後にこの毛糸玉たちを使ってなにか作ろうと
思いました。
そこで、モモニーはソラの
ブランケットを作ることにしました。

 

 冬はもうすぐ過ぎ去っていくけれど~
そしたら、そのまた次の冬に活かせばいいし~
ひとつあれば、ずっと使える頼もしいブランケット~

そんなことをメロディーのように口ずさみながら
夢中で編み進めます。

 

そろり   そろり

 

音を立てずに近づく者。

 

         

 

ソラがモモニーの傍にそぉっと近づいてきす。

どうやら、モモニーの毛糸のブランケットに興味があるみたいです。
フワフワとあったかそうなブランケットにソラは目が釘付けです。

 

 

 

 

そんなソラにはお構いなしに、モモニーは無心に手を動かしています。

 

どうやらソラも、モモニーのお手伝いをしようと思ったみたい。
あちこちに転がっている毛糸玉をモモニーの側へ集めようと
毛糸を一つ手に取ると・・・・

あらあら、
ソラの尖った爪に毛糸が引っ掛かってしまいます。

ひとつ取れたかと思うと、またひとつ引っ掛かり・・・

小さなソラには、まだまだ器用には手を動かすことができないのです。

うにゃ?

 

うにゃにゃにゃにゃぁ~~~~~~~~!

とうとうソラは、どうしていいか分からなくなって
泣き出してしまいました。

最後には毛糸は、ソラの体にぐるぐるに巻きついていました。
モモニーは、おいでおいでをしソラに巻きついた毛糸をほどき
ソラを膝に抱き、わんわんと膝に顔を埋めておお泣きしている
ソラを優しく撫でてあげます。

撫でられている内に、グスグスと泣いていたソラはブランケットの
フワフワした感触に気持ち良くなって、いつのまにかモモニーの
膝の上で眠ってしまいました。

ソラが眠りに就く頃には、ブランケットもできあがりました。
モモニーは、そのまま優しくそぉっとソラをブランケットでくるみ、
ソラをベットへと運んで行きました。

ソラは暖かいブランケットに包まれて、ぐっすりと
深い眠りへと落ちていきました。