森の小さな喫茶店

 キャンディートゥリィーの森の奥のまた奥へ入っていくと、少し
開けた場所があって、そこには小さなお家がちょこんと建っていま
す。小さなお家は森のものに、「小さな喫茶店」と呼ばれていて、
そこを待ち合わせの場所にしたり、ときにはみんなで集まってお茶
会を開いたりすることがあります。
小さなお家の中には、これまた小さな小さなキッチンがあって、そ
こでみんなは自由にお茶を作ったり、お菓子を作ったりして楽しめ
ます。

 ある日、ソラが森の中を歩いていると、ソラと同じくらいの大き
さのしろくまくんに出会いました。しろくまくんは、森の中をお散
歩するのが大好きで、いつもふらふらとしては、美味しそうな木の
実などをさがしているようです。

 そこで、しろくまくんとソラは次の光曜日に森の奥にある喫茶店
で会うことにしました。
その時にしろくまくんが、ソラがまだ見たことがない美味しい木の
実を持ってきてくれると言ったので、ソラは早く光曜日が来ないか
と、ワクワク楽しみに過ごしました。

 


 待ちに待った光曜日になりました。曜日の名前のようにキラキラ
とおひさまが光った暖かい一日です。
ソラは、早起きして早速森の奥へと行きました。小さな喫茶店へ着
くと、ソラは、しろくまくんが持ってきてくれた美味しい木の実を
つまみながら一緒に紅茶を飲もうと、森の小さなキッチンでミルク
ティーを作ることにしました。
ポコポコポコ・・・
小川からくんできた水をお鍋で沸かし、そこへ紅茶の茶葉をひとつ
まみ、ふたつまみ入れました。
紅茶のいい香りが、小さなお部屋の中に広がります。そしてミルク
を少し入れました。


 そろそろ、しろくまくんが到着するころでしょうか。ソラは、外
の様子を見に行きました。美味しそうなミルクティーの香りがお家
の外までひろがっていました。
小さなお家の、小さな煙突からは、ミルクティーの湯気がホワンホ
ワンとあがっています。

「まだかな~」

ソラはそっとつぶやきました。

 

その頃しろくまくんはと言えば、こちらも朝早く起きて美味しい
木の実を持って森の喫茶店に向かって歩いていました。時々木の実
をつまみながら・・・

 しろくまくんのお家から森の喫茶店までは、少し歩くので早起き
したしろくまくんはお腹が空いてきて、木の実をパクパク。
木の実は少しだけになってしまいました。
しばらく歩いて行くと、小さな木に小さな林檎がなっていました。
そこで林檎も少し持っていこうと、林檎をつまみつまんだ先からお
口の中へパクパク。
ひとつ、ふたつと夢中で食べていたので、気づいたら林檎はもう手
の届かない所にしかありませんでした。


「こまったな~~。
 しょうがない。林檎はまた今度にしよう。」

 


 そう言うと、しろくまくんはまた森を歩きだしました。しばらく
行くと低木に黄色い花がたくさん咲いていました。


「ニチニチだ!!!」


しろくまくんは、大喜び。キャンディートゥリィーの森の中には、
不思議な草がたくさん生えています。このニチニチは、食べるとク
ッキーのような味がしてとても美味しいのです。
 しろくまくんの住んでいる森の辺りには、このニチニチは咲いて
いないので、すっかり感激してニチニチをつまみだしました。


「おいしい~おいし~~」


 しろくまくんはすっかり食べるのに夢中になってしまって、ソラ
との約束を忘れてしまいました。お腹がいっぱいになったしろくま
くんは、少し休もうとコロンと横になりました。


「しあわせだなぁ~~~」


そう呟くと、しろくまくんはクークーと眠ってしまいました。

 



 森の小さな喫茶店でしろくまくんを待っているソラ。美味しい木の
実は食べることができるのでしょうか。
ミルクティーは出来上がりました。待ちくたびれたソラは、まずは美
味しいミルクティーを一杯飲みましょうと、喫茶店の中へ入っていき
ました。